Jazz Twins

双子の若手新進ジャズミュージシャンの母がアメリカ南部メンフィスから、見て、聞いておもしろいと感じたことを発信します。

メンフィスの優雅な日曜の過ごし方といえば、ジャズサロン。
すてきなお家の居間でジャズミュージシャンを身近に感じることができます。

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今回のミュージシャンは、ジョイス・コブ(Joyce Cobb, ボーカル)とマイケル・ジェフリー・スティーブンス(Michael Jefry Stevens、ピアノ) 。二人とも世界をまたにかけて活躍しているベテランジャズアーティストです。

我が家の双子ミュージシャン、カールとアランもこの二人に師事し、マイケルからはジャズ即興法を、ジョイスからはブルースの歌い方を学びました。

二人とも現在は、演奏の他に後進の指導にも忙しく、ジョイスは、メンフィス大学、ローズ大学の音楽部ジャズ科の先生です。マイケルは、各地の学生を教えながら、意欲的にヨーロッパとアメリカにライブジャズを広め、ヨーロッパのミュージシャンとも多く共演しています。

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マイケルはスタインウェイの認定ピアニストです。個人宅のコンサートですが、メンフィスのアムロミュージック楽器店がスタインウェイのグランドピアノを提供してくれたので、すばらしい音色のピアノ演奏でした。2009年に認定され、ピアニストとして大変に名誉なことなので記念のポスターが贈呈されました。

マイケルのわきに客席の一部もみえます。
広いお家の居間を開放してのサロンは40人ほどのお客様でいっぱいでした。インターミッションにはダイニングルーム(こちらもとっても広々)でオードブルとワインも楽しめます。

ジャズ愛好家たちが集るパーティですから、思いがけない出会いもまた楽しみです。ワイン、ジャズ、そしておしゃべりの3拍子が揃う優雅なひとときでした。

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ジョイスはメンフィスの誇る歌姫、クイーン・オブ・ジャズとして、ビールストリートに名前を刻んだ音符プレートが歩道に埋め込まれているほどの人です。ジャズのインプロ(即興法)がすばらしくて歌とおしゃべりの境目がありません。音楽のしらべにのせてお客様をたくさん笑わせ、楽しませてくれる真のエンターテイナーでした。

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ホストは家族で音楽を楽しむ人たちで、皆が参加して演奏を披露しました。なかなかのハイレベルです。メンフィスはこういうアマチュアミュージシャンのレベルも高いことが多いです。

お母さんのお歌もすてきでしたが、会場を沸かせたのは若干12歳のハリソン君のピアノです。プロのミュージシャンに混じって堂々とした演奏ぶりでした。将来が楽しみです。
そしてベテランたちの暖かいまなざしもすてきでした。

ジャズに満たされたすてきな日曜日でした。



音楽の都、メンフィスといえばビールストリート。
ブルースで知られるメンフィスの目抜き通りにはライブハウスがたくさん立ち並び、歩道には音楽界に功労したメンフィスゆかりのミュージシャンの名前がついた大きな音符のプレートが埋め込まれています。

今日は、ビールストリートの歩道に加えられる新しい音符プレート授与セレモニーに出席してきました。今回功績をたたえられるフロイド・ニューマンは81歳のサックス奏者です。

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一緒に演奏した有名ミュージシャンは、アイザック・ヘイズ、ブッカーT&MGsなど、メンフィスゆかりのスタックスレコードのミュージシャンにはじまります。そして、フランク・シナトラ、サミー・デイビスJr、テンプテーションズ、ディオンヌ・ウォーウィック、ジェリー・リー・ルイス、などアメリカ音楽界に君臨する大御所の名前がずらりと並ぶ、知る人ぞ知るアメリカ音楽界の貢献者です。

10代の頃から頭角を現し、高校に通いながら夜はクラブで演奏、放課後はスタックスレコードに通い詰めてスタジオミュージシャンをしたというものすごい働きものだったそうです。今日のスピーチでは、華々しい自分の経歴については他の人のスピーチにお願いして、自分では、いろいろなミュージシャンを発掘し、育てたことを話していたのが印象的でした。

後にグラミー賞や、映画の主題歌を書いてアカデミー歌曲賞ももらうことになる若きアイザック・ヘイズ(故人、1942-2008)に才能を見抜いてスタックスに紹介したのもフロイドでした。ボロボロの服を着て、ピアノも右手でしか演奏ができなかったけれど、絶対音感があることに注目したそうです。左手も教えたらすぐに飲み込んで演奏ができるようになったので、「この子はいける!」と、スタックスレコードに連れていったそうです。

フロイドがいなかったら世界の音楽の歴史が変わっていたかもしれません。

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アイザック・ヘイズの音符プレートです。
フロイド・ニューマンの音符プレートもこのように、ビールストリートの歩道に仲間入りする予定です。

多くの人は知らない事だそうですが、アイザックは最初は、ソウルミュージックでなく、ジャズミュージシャンになりたかったのだそうです。メンフィスで、こうしていろいろなエピソードが実際に本人から聞けることが本当に楽しいですね。

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こちらが、ビールストリート。
世界的に有名なブルース歌手、B.B. キングなどが世の中に出て行きました。B.B.はブルースボーイの頭文字です。たくさんのクラブからレベルの高いライブミュージックが聞こえてくる音楽通りです。

音楽功労者の音符プレートは、エルビス・プレスリー、ジェリー・リー・ルイス、アイザック・ヘイズ、B.B.キングなど。日本で聞いたことのある世界的に有名な大御所音楽家の名前が多く、メンフィスの音楽の層の厚さを感じることができます。

そして、大御所たちが大御所たれる所以はフロイドのようなすばらしいミュージシャンがいてこそのことです。そしてメンフィスはそういう人たちをたくさん輩出しています。

このイベントには、我が家の双子が高校時代、スタックスミュージックアカデミーで勉強したご縁で招待してもらいました。スタックスは1950年代、60年代、ソウルミュージックで世界を制覇したレコード会社。ビートルズなどにも大きな影響を与えたというソウルやR&Bで有名なレコードレーベルです。

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セレモニーのあと、個人的にお話を伺いました。とても気さくですてきな人です。何より、音楽を語るときの真剣なまなざしが印象的でした。目がきらきらと輝き、本当に楽しそうに語ってくれるので、音楽にかける情熱のすごさを肌で感じました。

二男二女のお父さんだそうです。全員立派に育ってしっかりやっていると自慢してくれました。そして彼の功労の大きな原動力は長年連れ添った奥様にあるそうです。

とてもすてきなご夫婦でした。


アメリカのディープな南部のメンフィス郊外に暮らして4年目です。
メンフィスといえばエルビス・プレスリーやソウルミュージックのスタックスレコードなどで有名な音楽の街。ブルース発祥の地としても有名です。

でも、「メンフィスってどこ?」
日本に帰るとよく聞かれます。

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このアメリカ地図でみるとメンフィスはアメリカの真ん中からちょっと右下です。アメリカの南部、テネシー州の西南のはじにあります。北米大陸で一番長い川、ミシシッピ川の流域の街で、ミシシッピ川をはさんで向こうはアーカンソー州、メンフィスの南にはミシシッピ州が広がります。

人口は、67万人ですが、近郊を合わせると約130万人の人たちが暮らしています。日本ではアメリカというとまずニューヨーク、ロサンジェルスという海辺の大都市のことをよく聞きますが、メンフィスのことを聞く事はあまりありません。

それもそのはずです。ここは130万人も人がいるのに、日本領事館に登録している日本人は200人ほどしかいないそうです。ディープな南部の街という感じで、エルビス・プレスリーのファンの人以外訪れる日本人もあまりいないようです。

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これがミシシッピ川にかかる橋です。メンフィス側から夕暮れ時に撮影しました。
我が家には双子の息子がいるので双子橋みたいにみえて、私にとってはちょっとセンチメンタルな橋です。メンフィスのシンボルとしてよくこの橋は紹介されることが多いようです。橋のむこうはアーカンソー州です。

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2006年6月に日本の小泉純一郎首相がブッシュ大統領と一緒にエルビス・プレスリーの家、グレースランドを訪ねたことで、日本人の頭の中には、「メンフィス=エルビス・プレスリー」という構図が出来上がりました。

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これがエルビス・プレスリーが20年ほどを過ごしたお家、グレースランドです。
エルビスが亡くなって30年以上たちますが、毎年60人万人もの人たちが訪れる、世界で一番訪問者の多い私邸だそうです。

日本ではあまり知られていないアメリカ南部、メンフィスから、双子ジャズミュージシャンの母として見たり聞いたりしたちょっとおもしろいことをこれからお届けしていきます。

どうぞよろしくお願いいたします。









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